イースター島という島を知っていますか?
南アメリカの西岸から3,700キロのところにある、面積120km2ほどの小さな島です。
大きさは東京ディズニーリゾートおよそ75こ分、島をぐるりと一周してもフルマラソン1.5回分です。
(↓この絵をクリックすると、イースター島を見ることができます)

イースター島という名前は、1722年の復活祭(イースター)の日に、オランダのロッヘフェーンがこの島におとずれたことから、この名がつけられました。
モアイと呼ばれる大きな石像があることで有名ですね。
イギリスで使われているモアイの切手
イースター島には、動物や植物があまりありません。
岩と、わずかにはえた草ばかりの荒(あ)れ果てた土地に、数多くの巨大(きょだい)なモアイが立っているという光景(こうけい)は、とてもふしぎなものに思えます。

イースター島に住(す)んでいる人がもっとも多かった時は1600年ごろで、6,000〜7,000人もの人が住んでいたそうです。
でも、1877年には、島民はわずか111人になってしまったといいます。
これはどうしてなのでしょう。
この土地で、人はモアイをどうして、どうやって作ったのでしょうか。
そして、どうして人は減(へ)ってしまったのでしょうか。
モアイは、大きいもので高さが20メートル、重さ90トンにもなり、イースター島の各地にちらばっています。
その数は1,000体以上にもなります。
今からずっと昔、イースター島には人は住んでいませんでした。
そこには森が広がっており、土地は今よりもずっと豊かでした。
でも、今から1300年ほど前にイースター島に人が移り住んでくるようになってから、イースター島の様子は大きく変わりました。
新しい土地を求めてイースター島に移り住んできた人々は、森を切りひらいてその土地に畑を作り、豊かな食料をえていました。
また、生活のために森の木を切りたおして料理(りょうり)や暖房(だんぼう)のためのまきとしたり、家をたてたり、魚をとるための舟(ふね)を作ったりして生活するようになりました。
生活が豊かになると、島の人口はどんどん増えました。
モアイは、島の内側を向くようにして立っているため、島の守り神として作られたのだと言われています。
これらはすべて、島にあるラノ・ララク火山にある岩を石器(せっき)でけずって作られました。
できあがったモアイは、木の繊維(せんい)から作られたロープで引きずられて、木で作ったコロに乗せられて島の各地にはこばれました。
そうしてモアイは島のあらゆるところから、いつでも島の中を見守っていたのです。
でも、こんな時代も長くはつづきませんでした。
島に住む人がふえて、人々がどんどん森をこわしたため、島からは森がへってきました。
森が減ると、そこにあった植物や動物は生きてはいけません。
森がなくなると…
土砂(どしゃ)くずれがおきやすくなります。
森は、クッションのやくめをはたして、土砂(どしゃ)くずれを防いでくれています。
もし雨がふっても、森があれば、雨は木の葉や枝に当たるので、ちょくせつ地面に雨つぶが当たりません。
地面に当たっても、地面にある落ち葉が雨つぶをうけとめてくれるので、あまり土が流れ出ないですみます。
そして、木の根っこが土や砂をしっかりつかんでいるので、土砂くずれをふせいでくれるのです。
森がある場合と何もない地面の場合では、雨がふった時に流れ出る土の量が100倍もちがうのです。
森はどれくらい土が流れ出るのを
ふせいでくれる?
|
|
|
|
|
|
作物のない畑を
1とすると
|
作物のある畑は
10倍
|
木がたくさんある森は
100倍
|
|
|
ふせいでくれます
|
洪水(こうずい)や水不足がおきやすくなります。
森は、スポンジのようなはたらきもします。
雨がふると、木の葉や枝に当たった雨つぶは、落ち葉がかさなり合った土の上に落ちます。
その土は、落ち葉がくさってできたフカフカの土です。
土の中には、ミミズやアリなどの小さな生き物たちが作ったあなやトンネルがたくさんあります。
そのあなやトンネルに、雨がたまるので、森はスポンジのように雨をためることができるのです。
もし何日も雨がふらない日があっても、森が、雨がふっていた時にためこんでいた水をじわじわとしみ出させます。
森がなくなると、このスポンジがなくなるため、雨がふっても水がすぐに流れ出るようになってしまい、洪水がおこります。
また、すぐに水が川へ流れ出してしまうので、水不足がおこりやすくなります。
水がよごれます。
森の土は、いくつもの層(そう)に分かれています。
たとえば、日本のブナの森ではこうです。
1番上が、かわいた落ち葉の層。
2番目が、しめってくさりかけた落ち葉の層。
3番目が、くさってボロボロになった落ち葉の層。
4番目が、養分(ようぶん)がとけこんだ、黒い土の層。
5番目が、かっ色の、やわらかな土の層。
6番目が、くずれかかった岩石(がんせき)の層。
7番目が、岩石の層。
雨がふっても、このように、いくつもの層をとおっていくことで、水は「ろ過(か)」され、だんだんきれいになっていきます。
そして、地面の下をとおって最後に川に流れつくころには、きれいな水になっているのです。
森がなくなると、そこにあった土が流れ出してしまうために、雨水はよごれたまま川に流れこんでしまうのです。
生き物が、生きられなくなります。
森には、動物があつまります。
森には、たくさんの種類(しゅるい)の植物(しょくぶつ)があるので、木の実(み)や葉などをえさにするこん虫があつまります。
たとえば、チョウの幼虫(ようちゅう)やセミの幼虫、クワガタ、カミキリなどです。
それらの虫があつまることで、つぎには、こん虫をえさとする小型(こがた)の動物(どうぶつ)があつまるようになります。
たとえば、シジュウカラ、アカゲラといった鳥があつまります。
するとつぎには、小動物をえさにする、大型(おおがた)の動物があつまるようになります。
ワシやタカなどです。
こうして、たくさんの種類の植物がある森には、たくさんの動物があつまるのです。
森がなくなると、そこにあった植物をえさにしていたこん虫がへり、それをえさにしていた小型の動物が減(へ)り、それをえさにした大型の動物もへります。
私たち人間も、森がこわれて荒れた土地から食料をえることがむずかしくなります。
食べるものがへって、生きられなくなるのです。
|
森がなくなると、土地がやせてしまうために農作物があまりとれなくなります。
また、家をたてたりモアイをはこぶための車を作ったり、舟を作るための木もたりません。
食べ物が足りないために、人はますます木を切って森をこわします。
広い畑を作ろうと森を切りひらきます。
そうすれば、森はさらにへっていきます。
こうして、とうとう食べるものがなくなってきたイースター島の人々は、とうとうおたがいの食べ物をめぐって、あらそいはじめました。
まずしさのあまり、人々は土地や食べ物をとりあうだけでなく、たたかいに勝った人が負けた人を食べたりもしたそうです。
こうして、ついにイースター島からは森がなくなり、残ったのは巨大なモアイ像とわずかに生き残った人々だけとなりました。
イースター島で起こった、この悲しいできごとは、今、地球に住んでいる私たちにも関係のあることです。
ぜいたくを求めて森をこわし、地球上から森がなくなったときには、もう私たちは生きていくことができません。
このことを、モアイは教えてくれているのではないでしょうか。
|